退職時に有給休暇を消化する際、「給料はどうなるのか？」「有給消化で給料が減る可能性があるのか？」と心配になる方もいるでしょう。
有給消化は労働者の正当な権利ですが、仕組みを正しく理解していないと「給料が減った」と感じるケースもあります。
この記事では、退職時の有給消化と給料の関係について、仕組みや影響、さらにトラブルを防ぐための注意点を詳しく解説します。
有給消化をスムーズに行い、不安なく退職を迎えるための参考にしてください。
目次
結論：有給消化で給料が減ることはない
まず結論から言えば、有給休暇中の給料は通常と同じ金額が支払われるため、基本的に給料が減ることはありません。
これは、労働基準法第39条によって有給休暇中の賃金が保証されているからです。
有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。
有給休暇中の給料の計算方法
有給休暇中の賃金は、以下のいずれかの方法で支払われることが法律で義務付けられています。
- 平均賃金: 過去3か月間の賃金を基に算出された金額。
- 所定労働日の賃金: 通常の出勤日と同じ給与が支払われる。
多くの企業では、所定労働日の賃金として支給されることが一般的です。
有給消化で給料が減ると感じる3つのケースとは？
実際には、「給料が減った」と感じるケースもあります。
それは、法律違反ではなく、以下のような要因によるものが多いです。
ボーナスやインセンティブへの影響
有給休暇の日数が勤務実績から除外される場合、ボーナスやインセンティブが減額されることがあります。
- 例: ボーナスの支給額が「勤務日数」や「実績」によって計算される場合、有給休暇中の期間がカウントされず、結果的にボーナスが減少する可能性があります。
残業代が支給されない
有給消化期間中は労働しないため、当然ながら残業代は支給されません。
これにより、通常時と比べて総支給額が少なくなる場合があります。
- 例: 残業代が月に5万円程度ある人が、全て有給消化を行った場合、その5万円分が支給されなくなる。
月の勤務日数が少なくなった場合の影響
退職月に有給消化を行い、実際の勤務日数が極端に少なくなると、控除額（社会保険料や税金）が相対的に目立つことがあります。
- 例: 有給消化で給与が日割り計算される場合、月全体の給料が通常より少なくなると感じるケースがあります。
退職時の有給消化と給料計算に関する2つのポイント
退職時の給料計算には特有の仕組みがあります。
有給消化が含まれる場合の影響を把握し、トラブルを防ぎましょう。
退職月の給料が日割り計算になる場合がある
退職日が月の途中の場合、その月の給料が「勤務日数＋有給消化日数」で計算されます。
この場合、月全体の給与額が通常より少なくなることがあります。
- 例: 通常の月給が30万円で、月の途中に退職した場合、勤務日数と有給消化日数が合計15日であれば、15日分のみ支給されます。
未消化の有給は買い取られることがある
退職日までに有給を使い切れない場合、会社が未消化分の有給を買い取るケースがあります。
この場合、未消化分の有給に相当する金額が給料に追加されます。
有給消化を行う際の注意点3選
有給消化を拒否されないようにする
退職時に有給消化を申し出た際、会社側が「業務が忙しい」などの理由で拒否することがあります。
しかし、労働基準法では労働者に有給取得の権利が認められており、正当な理由がない限り拒否は違法です。
- 対策: 有給消化の申し出は、できるだけ早めに書面で行い、記録を残しましょう。
有給消化期間と退職日の設定を確認する
有給消化を希望する場合、退職日を明確に設定することが重要です。
有給消化の開始日と退職日を事前に確認し、会社と合意しておきましょう。
就業規則を確認する
会社ごとに、有給休暇や退職時のルールは就業規則で定められています。
退職時にトラブルを避けるためにも、自社の規定を事前に確認しておきましょう。
退職時の有給消化に関するよくある質問
Q1. 有給消化中に他社へ転職活動しても問題ありませんか？
A: 原則として問題ありません。
有給休暇は労働者の自由な時間として認められており、その期間に転職活動を行うことも可能です。
ただし、競業避止義務が契約で定められている場合は注意が必要です。
Q2. 有給消化中にボーナスが減るのは違法ではないですか？
A: 違法ではありません。
ボーナスが「勤務実績」や「業績評価」に基づいて支給される場合、有給休暇中の日数が考慮されないため、減額される可能性があります。
Q3. 有給消化が認められない場合、どうすれば良いですか？
A: 労働基準監督署に相談するのが効果的です。
有給休暇取得の拒否が違法である場合、監督署が会社に指導を行います。
まとめ
退職時の有給消化は、労働者に保障された正当な権利です。
原則として、有給消化を理由に給料が減ることはありませんが、ボーナスや残業代、退職月の給与計算の影響で「給料が減った」と感じるケースもあります。
有給消化をスムーズに進めるために確認すべきポイント
- 有給休暇の残日数と消化可能な期間を確認する。
- 退職日の設定を事前に会社と調整する。
- 有給消化の申し出を記録に残しておく。
適切な手続きを踏むことで、退職時のトラブルを避け、気持ちよく次のステップに進むことができます。
自分の権利をしっかり理解し、安心して退職準備を進めましょう！
